なにひとつ                          忘れ得ぬ危機からは                                  さもなければ                                       事は    成就されたのだ 人間的ななにものでもない            無益な全結果をめざして                 起こりはしなかった                  眼路にそそぐ不在                                 場所しか    すげなくも追散らすためかのような廊下の波音                むなしい行為を                 さもなくば             虚妄によって確率したのだ                   滅亡を      全世界が溶解する                   波涛                        のこの海域に   ただひとつ          見上げる彼方                  おそらく                        下界が他の界を    相会うはるかとおく              点火された        あの穹窿あの勾配によって 一般に      指標とされるそこはといえば             関心の外に                      北斗また極星                           でもあろうあたり             星座                      が寒むざむと                     忘却と廃滅の光をまたたくの                                を別にしては    とはいえそれが空漠としていや高い表面に                        恒星として          形成されていく総計の相次ぐ衝撃を          一つまた一つと数えあげないほどに           冷たくはなく     全星宿          は夜を徹する                  疑がう                      輾転する                            かがやく 思念する                それを聖別するある終極点                   に停止するまえに              全思考は出発する骰子一擲を              「骰子一擲」より