過去に制作した作品や、小さな習作の中に、言葉を用いたものがいくつかある。これらの作品を集めてみる。
There are several past works and small studies I have created that incorporate words. I will gather these works together.
なんらかの行為、たとえばゲームのようにある一定のルールに基づいて反復する行為の中に、言葉を含めてみる。
英語の頻出単語2000個の辞書からランダムに一つの単語がボールとして選択される。そのボールの飛距離に応じて単語がシフトしながら選ばれていく。ランダムに選ばれた言葉の組み合わせによって意味が生まれてくる。
私たちは、情報を一時的に保存するために、何らかの物質を加工したり変形させる手法をとる。例えば紙に文字を書くことや、ハードディスクなどの記録メディアにデータを保存することも、どちらも物質を加工、変形させ、情報を留める方法だ。変形は一定のルールに基づいて行われており、同じルールに基づいて解読するこでその意味を読み出すことができる。つまり、私たちは情報を保存するとき「かたち」に意味を担わせている。つまり、私たちが普段「情報」と呼ぶものは何かしらの物質に依拠したパターン(かたち)を持っている。であれば、逆に全てのかたちから意味を取り出すことが出来るのかもしれない。
「マテリアライジング展III - 情報と物質とそのあいだ」に出品していたインスタレーション作品「取れた銀歯は、舌でその穴の深さを測り、食べた米が穴を埋める。」(2015)の要素の一つ「記録メディアとしてのパン / タブレット」という作品。もとの食パンの形から食べ進んだ距離に応じて文字が選ばれる距離と言葉の対応表をあらかじめ制作し、食パンをかじることで詩を生み出し、またさらに食べていくことで詩が変化していく。
夏目漱石の「吾輩は猫である」の冒頭を使用して、重複して登場する文字を1文字にまとめることで文章全体を圧縮するという試み。そこからさらに展開し直すプロセスをアニメーションで表示させる。
https://okikata.org/study/test79/
ステファヌ・マラルメの詩「骰子一擲」を、その言葉の区切りごとにプルダウンメニューに含めて、そこからランダムに表示するというスケッチ。それぞれの言葉は、重複がないようにランダムに選ばれ、表示されている。言葉がまさにサイコロをふって、多数の選択肢から選ばれたように感じられる。
https://okikata.org/study/test77/