How to make "Boring Screens" and "Someone in Virtual Reality"
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2024年12月14日より開催される「Automatic ・ Video ・ Communication」というグループ展で、『Boring Screens』と『Someone in Virtual Reality』という作品を展示・販売します。これらの作品は3Dプリンタや基板製造サービスを利用して制作されているため、それらのデータを共有することで誰でも同じものを制作することができます。作品を売ることでお金を(制作費くらいは…)得たい気持ちも(とても)ありますが、制作に使用した技術の特性についてなど、いろいろと思うところがあり、データや作り方を公開することにしました。同じものを作るだけでなく、改変したり、参考にして別の作品を作ることにも役立つかもしれません。もちろんギャラリーで販売している作品を購入していただけると(すごく)嬉しいです。
1. Boring Screens
*左からBoring Screens A,B,C
『Boring Screens』は3Dプリンタと電子基板を組み合わせて作られた小さなインタラクティブ彫刻作品(?)です。A,B,Cの3つのバリエーションがあります。ベースとなる電子基板は、Rabbit Pie
という多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コースで使用しているオリジナルの電子工作キットを使用しています。
Rabbit Pie : IDD-ART MICROCOMPUTER
KIT
1.1 Rabbit Pieの作成
Rabbit Pieのベースとなる基板はKicadというソフトでデータを作成しています。そこから書き出されたgerberファイルをオンラインの基板製造サービスでアップロードし、発注するとRabbit
Pieの基板を入手することができます。僕自身はJLCPCBというサービスを利用して製造しています。以下からKicadのプロジェクトファイルとgerberファイルをダウンロードすることができます。基板を改変せず、製造したいだけであればgerberファイルのみで可能です。Rabbit
Pieの最新バージョンは音声信号や電池駆動に関する部品が追加されたVer.0.3ですが、この作品では音声出力が不要なためVer.0.1.2のデータを掲載しています。
Rabbit
Pie Kicadプロジェクトファイル (Rabbit Pie Ver.0.1.2)
Rabbit
Pie gerber ファイル (Rabbit Pie Ver.0.1.2)
1.2 Rabbit Pieに必要な部品
Rabbit Pieの基板以外にいくつかの電子部品と、3Dプリントで作成する部品が必要になります。以下は『Boring Screens』を作成するために必要なRabbit Pieの部品一覧になります。それぞれ購入先のURLと3Dプリント用の3Dデータにリンクしています。『Boring Screens』では音声出力を行わないため、オリジナルのRabbit Pieから音声出力に必要な部品を除外しています。基本的にすべての電子部品は秋月電子にて購入できますが、『Boring Screens C』のみ異なるモノクロOLEDを使用しており、Amazonなどで購入できます。
- Raspberry Pi Pico x 1
- モノクロOLED display SSD1306 0.96inch(※Boring Screens A,Bの場合) x 1
- モノクロOLED display SSH1106 1.3inch(※Boring Screens Cの場合) x 1
- アナログジョイスティック x1
- タクトスイッチ x4
- USBケーブル Type-A to micro-B x1
- 配線用ワイヤ(AWG24くらいの太さ)
- ジョイスティックキャップ(3Dプリント出力) x1
1.3 Rabbit Pieの組み立て
Rabbit Pie の組み立てについては、以下のサイトを参考にしてください。電池駆動用のコネクタ、音声信号用のミニステレオジャックは不要です。また、OLEDディスプレイは『Boring
Screens』では最後に取り付けるためこちらも手順を飛ばしてください。
Rabbit Pieの組み立て
1.4 Boring Screens コードと3Dプリントデータ
以下のファイルには『Boring
Screens』のArduinoのプログラムコードと筐体の3Dプリント用のデータが含まれています。制作したいものを選んでダウンロードしてください。使用する3Dプリンタによっては基板や部品との寸法が合わない場合があります。そのさいはBlenderなどの3Dソフトで調整してください。3Dプリンタで使用するフィラメントについては、僕はグレーのマットplaフィラメントを使用していました。ぜひ他の色や素材でも試してみてください。また、スライサーのデフォルトの設定によっては一部強度が低くなるところがあるので外周(Wall loops)を4層ほどに設定することをお勧めします。
Boring_Screens_A
Boring_Screens_B
Boring_Screens_C
1.5 Arduono IDEのセットアップ
Rabbit Pie へのプログラムの書き込みはArduono
IDEという開発環境を使用して行います。Rabbit Pieにプログラムを書き込むためのArduino IDEのセットアップは以下のサイトを参考にしてください。
Arduino IDE のセットアップ
1.6 Boring Screensの組み立て
Rabbit Pieの基板をBoring
Screensの筐体にスライドするように差し込みます。基板は凹凸があっても貼れる、強めの両面テープで固定します。僕はナイスタックの屋外掲示用を使用しました。OLEDディスプレイも同様に両面テープで固定します。基板やOLEDディスプレイを保持する突起が引っかかって取り付けが難しい場合はカッターなどで削り取ったり、データを修正して調整してください。その後、Rabbit
PieとOLEDディスプレイを配線用ワイヤを半田付けして接続します。USBケーブルを接続して画面が表示されれば完成です。
1.7 Boring Screens 専用ケース
『Boring Screens』を収納するケースも3Dプリンタで制作しています。以下からダウンロードしてプリントしてください。
Boring_Screens_Case
2. Someone in Virtual Reality
『Someone in Virtual Reality』は3Dプリンタで出力した彫刻作品です。
2.1 Someone in Virtual Reality 3Dプリントデータ
以下のデータをダウンロードしてプリントすることで制作できます。ヘッドマウントディスプレイの部分が別パーツになっているので、プリント後に接着剤で固定します。plaフィラメントの場合、瞬間接着剤、LOCTITE 強力瞬間接着剤 ピンポインターゼリー状 や、「ボンド ウルトラ多用途SUM」などの接着剤が適しているようです。やや大きめの作品ですが縮小して出力してみてもいいと思います。
Someone_in_Virtual_Reality
2.2 Someone in Virtual Reality 専用ケース
『Someone in Virtual Reality』を収納するケースです。以下からダウンロードしてプリントしてください。サイズが大きく使用するフィラメントも多いので、プリント時のフィラメントの残量に気をつけてください。
Someone_in_Virtual_Reality_Case