[考えてみる]すでに存在する写真

 images that have already been uploaded

私がいま撮影した写真は、すでに誰かによって撮影されたものかもしれない。

Google Streetview

例えば、Google Streetviewでは、すでに誰かによって撮影された、世界中のパノラマ写真を見ることができます。まるで、地球上の全てが写っているかのようです。もちろん、それでも決してGoogle Streetviewに撮影されることのない場所や瞬間は存在します。例えばいまこの瞬間の教室の様子(いま・ここ)や、今夜の夕飯(未来)はGoogle Streetviewには存在しません。しかし、あえて考えてみたいは、 こうした状況において私たちはもう自分で写真を撮影する必要はないのかもしれないという可能性です。 wikipedia : Coverage of Google Street View

lens-less camera (2009) 谷口暁彦

https://okikata.org/lensless/
これは、iPhone を買った時に、万が一カメラが付いていなかった場合でも写真が撮影できるように制作したアプリケーションです。iPhoneのブラウザでこのURLにアクセスして、シャッターボタンを押せば、現在地付近のGoogle Streetviewの画像を取得して表示します。そして、そのURLをtwitterに投稿できます。つまり、カメラがなくても今いる場所の写真をtwitter上にアップできるのです。

somehow camera (2011) 渡邉朋也


“「somehow camera」はiPhoneで撮影した写真によく似た写真をネット上から取得するカメラアプリです。取得した写真をコメントと一緒にTwitterに投稿する機能があります。”

The Nine Eyes (2008 - ) Jon Rafman

http://9-eyes.com/
ジョン・ラフマンは、2008年からgoogle Streetviewを散策しながら不思議な瞬間が写った写真を集め、9-eyes.com というwebページにアップしています。

Random Personal Picture Finder

http://www.diddly.com/random/
デジタルカメラで写真を撮影したとき、その画像ファイルはある一定の規則にしたがって名前がつけられます。その規則にしたがってランダムにファイル名を生成して検索するwebサイトです。そうすることによって、だれかの手によって加工された写真ではない、撮影したままのパーソナルな写真を見つけることができます。

Search by Image (2011 - ) Sebastian Schmieg


http://sebastianschmieg.com/searchbyimage/
Google の画像検索を使うと、もとの画像に似ている画像を検索することができます。セバスチャン・シュミークは、プログラムを使って画像検索を繰り返し、まるでしりとりや伝言ゲームのように変化しつづけていくイメージを生み出しました。ずっと眺めていると、それぞれのイメージの意味の偶然の繋がりや、画像の参照、改変と再利用など、インターネット上の人々の営み(生態系)のようなものも見えてきます。

Captured Desire (2014) ご近所ものづくり同盟(菅野創 yang02 ヌケメ)

http://materializing.org/14_gokinjo/
“人々の関心を多く集める被写体には多くのカメラが向けられる。撮影された画像たちはインターネットにアップロードされ、類似画像が溢れかえる。それは「撮りたい」という欲望と、「アップロードしたものを見て欲しい」という欲望が結実した結果であると言える。画像から3Dモデリングを行うAutodesk 123D Catchを用いることにより、それらのアップロードされた画像からモデリングを行い、2Dだった被写体に厚み/重みを持たせる試み。”

Adding to the Internet (2009 - 2011) Justin Kemp


http://justinkemp.com/Adding-to-the-Internet
こうした事例を見ていると、自分で写真を撮影せずに、インターネットで画像検索をすればありとあらゆる画像が手に入るように思えてきます。でも本当にそうでしょうか?ジャスティン・ケンプというアーティストは、例えば「Hot dog under a pillow(枕の下のホットドッグ)」のような、Googleの画像検索で1件も結果が表示されない言葉を探します。そして、その言葉通りのオブジェを制作して、インターネットに写真をアップします。つまり、この写真は、それまでインターネットに確実に存在しなかった写真なのです。

ファウンド・フォト

インターネットが普及するよりもはるかに前から、自分で写真を撮影するのではなく、蚤の市などで手に入れた、だれかの遺品の写真を写真集などにして発表する写真家やアーティストがいました。こうした方法を「ファウンド・フォト」と言います。インターネットが普及し、画像検索などの検索方法が一般的になった現在の状況と「ファウンド・フォト」はどのように同じで、どのように異なるでしょうか?